2007年 08月 28日 ( 4 )

本番 2


追憶31

30分の休憩に会場内が明るくなる。

人が動き、その間をドレス姿の私たちがご挨拶に回る。


私はその間に着替え。
白のドレスを脱ぎ、黒に変わる。

後半は3曲目なので、そのまま右袖で控える。
私の前の2曲目は楽しい歌。
で、私の「雪が降る」は、暗く、哀しい。 この落差。


けれど、歌い始めたら、自分の世界。
私が創り上げたイメージに合うように、
セリフも歌詞もすこしだけ変えた。

目の前に、待つ人が来ない世界が広がり、
私は哀しみでいっぱいになる。
この気持ちは、果たして相手に届くのか‥

失望のセリフを語り終えて、後半の歌へ戻ろうと‥ 

  !先生、そこ、音、ちがう!

ピアノの先生の焦りが手に取るように感じられる。
それでも、哀しみは頂点を極め、
失意の中、雪に立ち尽くし‥  終わる‥


いつまでも哀しみの世界にいられない。

会場を大回りして、ナレーション席へ急ぐ。
その時間稼ぎに、バックの紹介をしてくれることになっている。

果たして名前は大丈夫か?!

ナレーション席へ戻った私が見たものは、
左手の指に、大きく書き込まれたアーティストの名前(笑)
カンペに助けられ、無事、終える。


私の次の曲は「永遠の絆」。 
教室で泣いてしまったあの曲。

最初にナレーションを考えたのは、
この曲に、歌う彼女の気持ちを付け加えたかったから。
だから、こんな急ぎの綱渡りをしてでも、私が言いたかった。

そのあともお気に入りのナレーションが続く。

自分の歌が終わっているのだから、
もっとほっとしてもいいはずなのだが、
一番最後に、ヒミツの花束贈呈が残っている。
それがうまく行くまで、私は安心できない。

曲はどんどん進む。

ああ、もうすぐ終わりなんだ。 
こんなに、あっという間なんだ。 と、思ってた。

大トリの「キャバレー」は、リハーサルよりもっとはじけて
みごとに勤めを果たした。


さあ、最後の先生の曲。

ナレーションは初お目見え。
「面白系」の注文の先生は
私のナレーションに満足してくれるだろうか?



先生の声が響くと、「場」が変わる。 
空気もすべて変わる。

「ケ・サラ」 の歌詞がこころにしみこんでくる。

   ケ・サラ ケ・サラ ケ・サラ
   私たちの人生は 階段を手探りで歩くようなもの

曲の間に、来てくださったお客様への挨拶が入る。
その言葉に、私たちの初めての発表会が無事に
終えられたことへの安堵を感じる。
最後は会場に配った歌詞カードで一緒に歌うひとときだ。

   「ケ・サラ」‥ 歌はおまじないのようなもの。
   「ケ・サラ」‥ どうにかなるさ。
   何かにぶつかったとき、口ずさんでみてほしいと。

私たちもステージへ出て行く。
先生がマイクを持って会場へ。
80人ほどの声が、会場に響く。

そして、先生のソロ。
ひときわ、大きな拍手の中、先生は袖へ引いていく。


さあ。 ここからだ。


中央にいる最後の挨拶の担当者が、先生を呼び出す。
メンバーみんなで口々に「せんせ~」と呼ぶ。
左端でマイクを持っている私は、会場にお断りをする。
「これは、先生の台本にはありません」と。
先生が 「えっ?」という顔で戻ってくる。

バックに愛の讃歌が流れる。

「先生に出会って8ヶ月あまり。
 最初に習ったのは、愛の讃歌でした‥
 ‥‥‥‥‥‥‥‥略‥‥‥‥‥‥‥‥
 ‥私たちと、私たちの家族との感謝の気持ちを込めて、
 花束を贈らせてください」
「贈呈は、~~さんのお孫さん、
 ○○ちゃん、お願いしま~す」

白のドレスを着た小学校低学年くらいの可愛い女の子が、
客席の間を縫って進み出てくる。
バックの愛の讃歌がひときわ大きくなって、花束贈呈。

ピアノの先生は泣いてしまって、演奏にならない。


そして、最後の挨拶。

全員で、深く、礼!


バックの演奏が終わるまで、感謝の気持ちを込めて。
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by sararaM | 2007-08-28 22:01 | 追憶 | Comments(4)

本番 1


追憶30

先生の合図。

会場の後ろから控えの右袖まで、場内を進んでいく。
‥会場内はすべて舞台‥ 
先生に何度となく言われた言葉が頭の中で響く。
背筋を伸ばして、堂々と。 
今日は主役。

満席のお客様。 家族の顔が見える。友人の顔が見える。

演奏が流れ出す。 もう、止まれない。


サ・セ・パリはやっぱりジタバタ、した。
けれど、大きな声で、元気よく、にっこりと(笑)

私の挨拶。 
よしっ! 笑いを取った! (大阪では必須(笑))

ナレーション席に着く。


個人の曲が始まる。

リハーサルは今までの中で格段によかった。
ところが、本番だというのに、それより、もっと、いい!
ぎっしり入ったお客様を前にして、
実に気持ちよさそうに歌い上げている。

このメンバーは何なんだ?
本番にこんなに強いのか?

ナレーション席で、私は、苦笑。

実際のところ、リズムがずれたままだったり、
間奏が短すぎたり、というのもあった。
歌詞カードを持ってナレーション席にいる私は、少しドキドキ
だが、当人は、我関せず、と自分の世界。

うしろのピアノの先生と
ベーシスト、ドラムス、との視線が交錯し、
すっと、バックがあわせてくれる。

何事もなかったように、曲は進む。


黒1点の男性は、
海をイメージする軽装からタキシードに着替えることになっていた。

歌の出番からタキシードでの挨拶まで、中3曲。
進行を考えながら、私は会場をチラチラ気にしていた。
袖の控えに入るところに、先生がずっと立ってくれている。
私の視線に気付き両腕で大きな丸。

OKだ。

バックの方々の経歴も含めての紹介。
実に落ち着いて、ゆったりとして、これもよかった。


1部はあっという間に進む。

私はナレーション席を立ち、
テーブルとイスの間をぬって逆側の控えへ。
真紅の大きなバラのコサージュを左の指に絡める。
ケープを脱ぎ捨てる。


私が生まれて初めてステージで歌う曲。
これは私の大切な人のために。

何1つ、よけいなことは考えなかった。
いつもはうまく入れるか気になるサビへのポイントも、
一番高い声の部分も、次の歌詞も。

全てをバックに委ねて、歌った。

ハイテンションと冷静さとが共存した時間。

曲が終わりに近付き、
もう、終わってしまうのか?もっと歌っていたい
と思っていた。


歌い終わって、袖へ引く。

ああ、何て気持ちいい!


本番って、こんなに、ステキなんだ!
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by sararaM | 2007-08-28 17:47 | 追憶 | Comments(0)

リハーサル 2


追憶29

後半のリハーサルはステージ衣装。 イメージが変わる。

歌よりも、途中に入る案内などが危ない。
バックの紹介では、ものの見事に名前を間違った。
しかも、ずっと一緒にやってきたピアノの先生を‥

どうする?! 本番では許されないこと。


大トリの「キャバレー」の彼女は
2日前のレッスンでは、まだ固まっていた。
一度は「娼婦になれません」と、
曲の変更を申し出たこともあった。
周囲が聴いていて、音もリズムもしっかりあっているのに、
本人が ‥これで、いい?‥ と心配そうに歌うから、
それがモロに伝わってしまう。
そんな感じでずっと来ていた。
いつも、できていないところを気にする彼女を
みんなで励ましてきた。

それが、どうだ!
当日になってやっと吹っ切れたのか、吹っ切ったのか。

これから先、
どんなに自信がないようなことを言っても、信じない!(笑)


リハーサルを終えて、
会場オープンまで、最後の外見?の仕上げ。

先生が、
メイクを直したり、衣装のチェックをしたり、してくださる。
先生は、海外旅行か?というようなトランクに、
メイク一式から、山ほどのアクセサリー、
肩にかけるマラボーやトップスまで
実に様々な小物を用意してくださっていた。

「そのネックレス、地味! これ、つけてみて。」
「この歌はこのトップスがあうと思って持ってきたから、
 一度着てみて。」
それぞれに手が加えられて、
ゴージャスに仕上がっていく(笑)

私は白のロングドレスに
レースのカーディガンをはおっていたが
先生に、羽のついたロングケープをかけられて、それで決まり

メイクだけでも一番目立っているのに、
衣装でも思いっきり目立ってしまった。


ナレーション席に台本を配置。
右袖控えに、歌詞カード。
途中で必要になるものを、ボトル棚に配備。


オープンまでにかなり間があるのに、
ちらほらとお客様の姿が見え始めた。

「オープン、10分早めるよ、準備して!」 先生の声。

会場にカーテンが引かれる。
太陽の光が、消える。


さあ、始まりだ。
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by sararaM | 2007-08-28 15:44 | 追憶 | Comments(0)

リハーサル 1


追憶28


ドアを開くと、昼間の光が差し込んだライブハウス。
ピアニストとベーシスト、ドラムスの3人が
すでに打ち合わせを始めている。

ベースとドラムの方はシャンソンは初めてということらしいが
ジャズでは忙しく活動をされているプロ。
全員、緊張した面持ちで、挨拶。


何度も予習したタイムテーブル。

控え室にドレスをつるす。
狭い部屋に華やかなドレスが広がる。


さあ、本当のリハーサルだ。
8人で舞台の右袖に待機。
「踊り明かそう」の演奏から、サ・セ・パリの前奏に入る。

出なければ‥
ああ、まるっきりの出遅れ。
コードがもつれる。
次の4人との入れ替わりも苦しい。

私の挨拶。
歌ではないだけ気が楽。
そのまま、ステージ左手のナレーション席へ座る。


ナレーション席は、誰よりも歌い手に近い。
目の前に歌い手がいる。

バックにベースとドラムを加えて、初めての演奏。
今まであれほど心配していたのに、
誰もかれもが、どうしたの?、という堂々たる歌いっぷり。

2日前のリハーサルでも、とてもいい、と思ったのだが、
それより格段に、いい。
みんなが気持ちよく歌っているのが手に取るようにわかる。

1部の最後。私の順が来た。

ああ、そうなんだ。
とても安心して歌える。
だから、みんなあんなに気持ちよさそうに歌ってたんだ。

どんなマジックがかかったんだろう?
誰の顔にも不安の不の字も見られない。


リハーサルが進む中、順に衣装に着替えていく。
会場内がだんだん華やかに、それらしく変わっていく。


1部のリハーサルを終えたところで休憩。

簡単に食べ物をお腹に入れておく。
私一人だけ着替えていなかったので、着替えに専念。 

お昼をのがした。
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by sararaM | 2007-08-28 15:13 | 追憶 | Comments(0)