「愛の追憶」 ‥その2 背景


1年に1回の発表会のステージ。
その選曲に、できるならば‥ と思っていることがある。

それは、「戦争によって引き裂かれる愛」
私が歌う1つの大きなテーマ。
そういう曲を歌いたい。


2回目の発表会で「シェルブールの雨傘」を歌った。
これは、アルジェリアの独立戦争。
フランスでは2年間の兵役義務があった。

3回目は「ひまわり」
第2次世界大戦で、イタリアからソ連へ出兵していく。
終戦後も国交が回復していず、多くの兵隊は母国へ帰れず
また、ソ連へ入ることも難しかった。

そして今回、候補に考えていたのは
「3つの小さな音符」
「すり切れたレコード」
「愛の追憶」


歌うことになったのは「愛の追憶」


原曲の題名はドイツ語で「私のいい人」
そして、この曲の中で繰り返される言葉はドイツ語だ。
「さようなら(また会いましょう)愛しい人」
恋人が戦地へ赴き、帰ってこなかった‥
それがドイツ語とどう結びついているのか
実は私の中でつながっていなかった。

この曲についていろいろと検索しているときに
1つの文章に出会った。

そこで、私の中でつながらなかったものが‥ つながった。

樋口悟さんとおっしゃる、
フランス語通訳、カウンセラーをなさっておられる方。
また、シャンソンも歌われる。

了解を得て、その日のブログを転載させていただく。


‥‥‥‥‥‥

第二次大戦末期、ナチスドイツ占領下のパリでの物語です。
 フランス娘は、ドイツ兵に命を助けられ(両親はおそらくその戦争で亡くなり)、
愛し合うようになります。
でも、連合軍の反撃が始まり、彼は「必ず戻ってくるから」といって去ったまま、
帰ってはきませんでした。
彼女は心を閉ざしてしまいます
 日本では、“愛の追憶”という題名で歌われていますが、
原題は、ドイツ語で、“マイン・リーベァ・ヘル(私の好い人―英語の、my dear)”。

    私の好い人(愛の追憶)               樋口悟訳

娘は彼を“マイン・リーベァ・ヘル”(私の好い人)と呼んでいた
幾夜も夜通し愛を語った屋根裏の隠れ家で
彼の瞳のなかに 娘はふたたび見出したのだ
戦争が始まる前の 父の微笑む姿を 母の歌う姿を

「ねえ マイン・リーベァ・ヘル 
私を救ってくれたのがあなただって知ったら
天国の父と母はどう思うでしょうね
私を置いていかないでね マイン・リーベァ・ヘル
わかっているでしょう もう私には
この世にあなたしか残されていないってこと」

彼は答えた「もうけっして 
君の心のなかの恐れに耳を貸してはいけない
ほんの少し希望を持つだけで
世界はずっと良くなるはずだ
*アウフ・ヴィーダー・ゼーエン・リーベ(さようなら愛しい人)
ぼくはすぐに戻ってくるよ ベルリンからパリへ
戦争は終わるだろう 樹々は花咲き
人々は優しい心を取り戻すだろう
約束する 必ずぼくは戻ってくると
アウフ・ヴィーダー・ゼーエン・リーベ」

娘は彼をマイン・リーベァ・ヘルと呼んでいた
二人の語り合うのは素晴らしい勝利の日々だった
娘は聞いていた マイン・リーベァ・ヘルが話すのを
いつか二人でかなえるだろう夢の数々を
「イルミネーションに輝く街々を一緒に歩こう
カフェのテラスで食事をしよう
* くりかえし

娘は彼を待っていた 来る日も来る日も
地獄のような叫びと沈黙の中で
暖炉の暖かな幸せな火のかたわらに坐っても
娘は自分の周りにだけ張りめぐらせてしまった
凍りつくような冬の夜を
そして・・・・

  「連合軍がノルマンディーに上陸したぞ!」
  「鐘だ! 鐘が鳴っている! パリは開放されたんだ!」
 
・・・彼女はもうマイン・リーベァ・ヘルと口にしなかった
冬の眼をした 子供のままのその老婆は
人々が呼びかけても答えなかった
昔戦争があったことさえ もう憶えてはいなかった

けれど時々 記憶のよみがえる夜があり
すると彼女の瞳は急に輝き
語り始めるのだった かつての愛の物語を
* くりかえし

* くりかえし

 「子供のままのその老婆」と訳したところ、
直訳すると、「歳とった子供」となっていて、
日本では歌い手が、「痴呆症になってしまったんですね」
なんて説明していることがあるけど、「ばっかじゃないの」、と私は思っています。
彼女は、あまりに体験がつらすぎるので、
心を閉ざして、記憶を封じ込めてしまったのです。
 ついでに言うと、
アラン・レネ監督の“二十四時間の情事(ヒロシマ・我が愛)”や、
クロード・ルルーシュ監督、ジャン・ポール・ベルモンド主演の
“レミゼラブル 輝く光の中で”などに描かれているように、
フランス解放後、ドイツ兵と関係があった女は
見せしめのために公衆の前で坊主頭にされていて、
彼女も彼を失くした上に、そういう体験をしているかもしれません。


‥‥‥‥‥‥

樋口さんの訳文を読んで
彼はただの兵隊だったのではなく「敵兵」だったこと。
屋根裏は、隠れ住んでいたところ。
外で敵兵と歩くなどということなどできるはずがなかったこと。
だから、彼と外で歩きたいと強く思ったのだ、ということ。
そして
彼女が迎えた「冬」は
彼を失っただけではなく、
世間の冷たい目やしうちであったであろうことなど
実に様々な事実や感情が、私の中に流れ込んできたのだ。

日本語訳詞はいろんな意味を込めて書かれているように思うが
初めて聴く人に
ナチスドイツ兵に命を助けられ愛し合うようになったフランス娘のことだと
果たしてわかるだろうか?
その感覚までもを「歌」に乗せることなど、できるのだろうか。

歌う前に一言だけでも触れられたらいいのだが
今のところ、発表会にMCの予定は、ない。


私が前に歌った2曲より、格段につらい内容だ。
だが、曲調は、前の2曲の方が切ない。
このリズムを刻んでいくような曲調の中で
私はどのように彼女の気持ちを届けることができるのだろうか。




そんなことを考える前に音を取れ! と、叱られそうだが
曲自体の内容や背景を理解する、自分の中に描く、ことは
音程やリズムと同時進行、もしくは先行しなければならないと
私は考えている。

だから、
「3つの小さな音符」の流れた映画「かくも長き不在」も
探し回った結果、
東京のレンタルビデオ店の会員になって
大阪まで送ってもらった。


‥ああ‥ 重たい曲だ。つらい曲だ。
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by sararaM | 2010-02-25 09:59 | 4回目へたどり着けるか? | Comments(0)

「愛の追憶」 ‥その1 苦戦



2週間前にやっと譜面とメロディ付き伴奏がそろった「愛の追憶」

ただいま苦戦中。


ピアノのメロディと一緒になら
何とか音をとってついていけるのだが‥
何となく私には低い目のような気がする。

で、家事をしながら適当な音からアカペラでやっていると‥
もう、何とも、ぐちゃぐちゃの有り様。

出だしの ♪ あの娘は~ 兵士と~ で
「兵士」の「へ」のところで、ぽん、と音が上がるのだが
その、音幅がうまく取れないようなのだ。

で、「へ」の音が違うところに行ってしまって
その音を基準に続きを歌うから
戻って行った先は移調されたような格好になって
あれっ?高い音が出ないや??
というような感じになる。

ところが、音のとり間違いが、どう間違っているのかが
自分ではわからなかったのだ。
多分、高くなってしまっているのだとは思っていたのだが。

私はピアノなど、鍵盤楽器が弾けない。
でも、譜面そのものを見て
1本指で音を見つけることくらいは出来る。
しかし、今持っている譜面は
いただいたピアノ伴奏のKeyではないので
♭が5個も付いていて、しかも途中に? がついているような譜面を
移調した結果がどうなるか‥ は
音がとれていない以上、感覚的にも、わからない。


で、一昨日、譜面に詳しいマイミクさんに教えを乞うて
最初の音が「ファ」を「ソ」にして歌うのなら調合はどうなるか
「ファ」を「ラ」なら、どうなるのか、教えていただいた。
その上で1本指で音を探していくと‥
私は、「兵士と~」の「へ」の音を
「ソ」でなくてはならないところを「ラ」で歌ってしまっていて
そのまま高い調子で続けるから、もとのところへ帰って行けないのだと
やっと、納得した。


ただし、納得することと、「できる」ことは違うのだ。
理解しても、声は「ラ」へ行きたがる。
「ソ」を探しても声となって出てこない。

う~~~~

自分自身、音をとるのが苦手なのはわかっている。
わかっているから努力するのだが‥ なかなかできない。


でも、
音をとるのはうまくてもリズムが苦手な人や
すぐに歌えるけれど歌詞が覚えられない人や
人それぞれに弱点はあって
それを抱えながらお稽古に励んでいるのだ‥
と、自分を奮い立たせる(笑)

しかし‥
歌の出だしの、この「音」をミスったら
あとの歌は、歌でなくなることは確かだ。


曲に対する気持ちがどれほどあっても
基本的なところがクリアできなければ
どうにもならないよなあ‥ と、溜息をついている。
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by sararaM | 2010-02-18 16:00 | 4回目へたどり着けるか? | Comments(2)

ばたばたばたと‥ 決まった


カレンダーの関係で1週間しかあかなかったレッスン

2月から、2つのクラスが1つになる
私は11時40分からのクラスだったが
それが、10時15分スタートになる。

実は、きつい(笑)

最近は、夫を6時過ぎに送り出したあと
もう一度、おやすみなさい。
目覚しもかけずに
身体が眠りたいだけ眠ることを許している。

レッスンの日はそういうわけにもいかないが
それでも、
調子がよくない日は10時ころまでは横になっている。

しかし、朝1からのレッスンだとそうはいかない。


ジタバタと駆け込む。

1つになったクラスの最初は、出演順の決定。

今まではかなりギリギリになってから決まったのだが
今回は3曲選んでいることもあり
出演順が決まれば、2曲に絞って練習できる‥
ということらしい。

私は
1部の7番、2部の3番、に決まった。

これで「この胸のときめきを」が外されることが決定。
曲は
「ラ・ボエーム」と
「愛の追憶」ということになった。


レッスンのあと
久しぶりに先生も一緒にみんなで遅いランチ。

その席で、一気に曲も決定。


1部

1 愛の幕切れ
2 バラはあこがれ
3 メモリー
4 ルナ・ロッサ
5 哀しみのソレアード
6 たとえはかない愛だとしても
7 愛の追憶

2部

1 誰も寝てはならぬ
2 ジジ・ラモローゾ
3 ラ・ボエーム
4 忘れじのおもかげ
5 水に流して
6 愛遥かに
7 ムーランルージュの歌


くじの運で、歌いたかった歌が外れてしまった人もいる。

しかし、決まったからには、2曲に集中!


時間は‥  ない。
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by sararaM | 2010-02-09 08:22 | 4回目へたどり着けるか? | Comments(2)