アダモ「摩天楼」


シャンソン教室の今の課題曲にアダモの「摩天楼」がある。

シャンソンには反戦歌や社会を風刺した曲が数多くある。

何も知らなかった私は、愛や恋を格調高く歌い上げる、

というようなイメージであったのだが、実に様々な内容が歌われている。

「摩天楼」は、アダモがアメリカを風刺して作った曲らしいのだが、

そびえたつ摩天楼に圧倒されながらも、

力だけに任せて摩天楼が戦いを始めたら全てが滅んでしまう、と歌う。

その最後のくだりに、

「どちらかが黄色いから、どちらかが黒かったから、戦った摩天楼の痛ましい物語は‥」

とある。

原文を確かめないままの感想で、乱暴なのだが、

なぜ「白」がいないんだろう、と私は思ってしまう。

「白」を参加させないのは涼しすぎるのではないか?

「白」は特別、というような感覚が、

自覚しないままに感じられる曲がアダモ以外にもたまにある。

古い曲などは時代背景ももちろんあるのだろうが。

私は「ジョリ・シャポー」は、歌えない。

しかし、そのような感覚は「白」に限られたものではなく、

黄色い私たち、いや、私にもどこかに潜んでいるに違いない。

鈍感になってはいけない。周囲に対しても、自分自身に対しても。

‥‥‥‥‥‥‥‥

このような感想を別の日記に書いていたら

あるシャンソン歌手の方が、

お友達のフランス語の堪能なシャンソン歌手の方に原文を直訳してもらってくださった。

驚くほどすざまじい文で、私はびっくりしてしまった。

これは、個人の方の訳なので、著作権は大丈夫だと思い、ここに貼らせていただく。

‥‥‥‥‥‥‥‥

直訳

これはカイン以来の最も暗い話
アメリカ人の記憶に刻まれた

ある日二つの摩天楼はどうして いいのかわからなかった
ある日二つの摩天楼は戦争した
二つのうち一つは黒い肌を持ち
黄色い肌の方はしめだされた
二つとも強情だった
破滅するかもしれない
彼らはへこむほど戦った
死があり栄光があった
最も強い者があり勝利があった
尊く気違いじみた瞬間があった
空に挑戦する瞬間があった
天を仰いで摩天楼は大喜びした
空がひたすら侮辱してることを 知らないで
でも空で真実がベールを脱ぐ時 が来る  
そして星の雨の下で
摩天楼が溺れる時が来る
その時摩天楼は本当小さくなる だろう  
その時摩天楼は自分 たちのウィスキーをはき出す
そして彼らはくずれ落ちるまで たくさん呑んだ
摩天楼は大地をひっかく
それは蜜の味がした
それはアルコールの味ががした
摩天楼は彼らの血をはき
彼らの傲慢さをはき
彼らは歯をギシギシいわせて
彼らの金をはく
彼らの銀(お金)をはく
死人の血を生きている人の血を はき出す
摩天楼は自分自身の身体をはき出し 
摩天楼は酔いつぶれた
その時彼らは栄光の色をのむ
その時彼らは勝利の秘密をのむ
その時彼らはネオンの太陽をのむ
その時彼らは大きく開いた穴をのむ
そして彼らは首をつった

‥‥‥‥‥‥‥‥

とても速いリズムのノリに、私は軽く歌ってしまっていた(練習中だが)

この、原文訳を読んだら、もう、今までの調子では歌えない。

日本語の訳詩は、それだけで、すばらしいもう1つの生命を与えられる時もあると思う。

しかし、その曲をつくった人が、

直接的に何を訴えたかったのかを知っておくことは大切だと、今更ながらに思った。


駆け出しのレッスン生のために、労をとってくださった方、訳してくださった方に

こころから感謝する。
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by sararaM | 2007-09-18 12:18 | シャンソン | Comments(0)